再発性卵巣がんに承認されていた「オラパリブ」が、遺伝性乳がん薬として了承

厚生労働省が国内初の遺伝性乳がん薬として了承

厚生労働省の薬事・食品衛生審議会部会は、2018年5月23日、再発性卵巣がんの治療薬として承認されている「オラパリブ」を遺伝性乳がんにも適用拡大することを了承しました。近く正式承認される見通しです。

申請した英製薬大手の日本法人アストラゼネカ(大阪市)によると、遺伝性乳がんの治療薬の承認は国内初となります。

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「オラパリブ」とは・・・

厚生労働省が2018年1月19日に抗悪性腫瘍薬オラパリブ(商品名リムパーザ錠100mg、同錠150mg)の製造販売が承認された。適応は「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法」、用法用量は「1回300mgを1日2回投与。患者の状態により適宜減量」となっている。

                          出典・日経メディカル

平たく言うと、2018年1月19日に「再発性卵巣がんの維持療法に行う薬として、厚生労働省が認めました」という事です。

それで、この維持療法というのは何かというと、疾病に対して行った治療が効果をあげて寛解期に入ったとき、疾病再燃、あるいは再発を予防するために、一定期間持続して行う治療法です。

 卵巣癌に関して日本での罹患患者数および死亡患者数は、年々増加傾向にあり、女性性器悪性腫瘍の中でも最も死亡患者数の多い疾患である。卵巣癌では進行期が最も重要な予後因子とされており、III・IV期症例の予後は不良である。各種癌治療では早期発見・早期治療が予後に大きく影響するが、卵巣が骨盤内臓器であるために腫瘍が発生しても初期段階では自覚症状に乏しく、卵巣癌の進行期分布をみると約40~50%の症例がIII・IV期症例である。

卵巣がんは増加傾向にあり、女性特有の腫瘍でありながら、骨盤により早期発見が難しい為に死亡患者の多い疾患です。この再発性卵巣がんに効果があるとして、認められた薬という事になります。

この薬「オラパリブ」(リムパーザ錠)を遺伝性乳がんに

今回の発表で、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会部会は、遺伝性乳がんにも適用拡大することとしました。

再発性卵巣がんと同じように遺伝性乳がんにも維持療法に使われるようです。

遺伝性乳がんは、再発性が高いと言われています。

遺伝性乳がん・卵巣がん(HBOC)とは?

「がん」の原因には

  • 環境要因(日常生活が影響するもの)
  • 遺伝要因(生まれつき持ったもの)

があると、言われています。この二つの内、卵巣がんや乳がんの患者の中には、遺伝的にがんに罹りやすい体質(遺伝要因)を持っている人が存在します。

この様な体質を持った人は

  • 若くして卵巣がんや乳がんを発病する傾向が強い
  • 一度乳がんに罹患しても、もう片方の乳房に乳がんが発症する
  • 乳房温存療法で治療した人は、温存乳房内で再度乳がんになる確率が高い

と言われています。

卵巣がん患者や乳がん患者の5~10%が遺伝要因にて発症したものであると言われており、そのうち最も多いものが遺伝性乳がん・卵巣がん(HBOC)となる。

遺伝性乳がん・卵巣がんは、遺伝要因がはっきりしているがんの1つ。BRCA(ぶらっか、ぶらか、びーあーるしーえー)と呼ばれる遺伝子に変異があると、乳がんと卵巣がんに罹患するリスクが高いことがわかっている。


乳がん患者の約5%がBRCA変異を有している?

BRCA変異とは、DNA修復にかかわるタンパク質を合成するBRCA遺伝子に異常をきたすことを言います。

簡単に言うと、DNAに異常があり「がん」になる確率が高い、という事です。

乳がん患者の約5%が、このBRCA変異を有していると言われ、以下の特徴があります。

  • 若年で乳がんを発症する
  • トリプルネガティブ乳がんである
  • 両方の乳房にがんを発症する
  • 片側の乳房に風数の乳がんを発症する
  • 乳がんと卵巣がんの両方を発症する
  • 男性で乳がんを発症する
  • 家族内に、乳がん・卵巣がん・すい臓がん・前立腺がんの人がいる

70歳までに乳がん及び卵巣がんにかかる可能性
・BRCA変異陽性乳がん:49%~57%(一般の方(9%)の5~6倍)
・BRCA変異陽性卵巣がん:18%~40%(一般の方(1%)の18~40倍)

BRCA変異がある人は、通常の人よりも発症率が5~40倍になります。

乳がんとオラパリブ(リムパーザ)

欧米では乳がんの罹患者数、死亡者数ともに減少傾向にあるが、日本ではどちらも増加の一途をたどり、1999年以降、乳がんは女性のがんでは胃がんを抜いて第1位の罹患者数、死亡者数である。

乳がんの中でもがん抑制遺伝子として知られるBRCA1/BRCA2遺伝子変異をはじめ遺伝性乳がん患者の割合は乳がん全体の約5〜10%、遺伝性乳がんの約20-25%を占める。BRCA1/BRCA2のいずれかの遺伝子変異保有者の約80%は70歳までに乳がんを発症することが判っているため、その患者には家族歴聴取をはじめスクリーニング検査が重要である。

実際、スクリーニング検査によりBRCA1/BRCA2遺伝子変異を有することが判れば、リスク軽減乳房切除(RRM)により乳がん発症リスクを90%以上減少させられることが判っている。しかし、日本ではリスク軽減乳房切除(RRM)をはじめBRCA1/BRCA2遺伝子変異陽性乳がんに対して保険診療の体制が整っていないのが現状である。

まとめ

今回、紹介したオラパリブ(リムパーザ)は新薬ではありません。アメリカでは、2014年12月24日に、製造承認が取れています。日本では2018年1月19日に承認されています。

ですが、今回の了承(近くに正式承認)で、再発性卵巣がん以外にも適用になります。

乳がんは、発症率も高いですが、それ以上に精神的ショックの大きい病気と言えます。

日本では、遺伝子検査、検診、予防については、保険適用外のために自費診療となります。その為に、気が付くのが遅くなるケースもあります。

もし、周りにBRCA変異を有している特徴を持った方がいましたら、一度診察をしても良いかと思います。



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